コラム

プロフィール

今井亜希子

  • ひかり在宅クリニック(横浜市)
  • 2001年 群馬大学医学部卒業
  • 医学博士
  • 皮膚科専門医
  • 日本フットケア・足病医学会 評議員

在宅療養支援診療所に勤務し皮膚科訪問診療を行うほか、神奈川県内の病院で足と靴の外来を担当している。足爪の変化・皮膚の角化と運動機能との関係を検証する臨床研究活動も行なっている。


巻き爪の論文について解説します 1/2(2023/12/01)

私たち足育研究会は、マジメに「医学的な研究」もしています。今回、巻き爪の原因に関する研究が論文になり、医学雑誌(日本皮膚科学会雑誌)に掲載されました。足育研究会ならではのチームワークを活かした内容なので、みなさまにもぜひお知らせしたいと思います。

巻き爪とは、爪の両端が内側に巻き込むように変形したものをいいます。ある調査によると日本人の約30%が自分は巻き爪であると感じており、そのうち約30%に痛みなどの症状があるそうです。

巻き爪が発生する原因は、足に加わる力のバランスの崩れと考えられていますが、わかっていないこともたくさんあります。

今回の研究のテーマは、「足指の巻き爪の発生に、脚の運動と足の変形が、どう関係しているのか?」を調べることです。

ここだけのウラ話ですが、研究メンバーのミーティングでは、「なぜ母趾だけ巻き爪の人と、足趾全部の人がいるのだろう?」「巻き爪の形がさまざまなのは、発症のメカニズムが違うのでは?」からはじまり、どんどん好奇心がふくらんで、壮大な計画になってしまいました。今回オモテに出たのは、ほんの一部にすぎません。

データを集めるための計測会では、133名の参加者のご協力のもと、主に医療部会・運動部会・情報部会がタッグを組んで行いました。足の指に巻き爪があるか、外反母趾などの足変形があるか。ひざ下の筋力(足趾間力)と足首の柔軟性(足関節背屈可動域)はどうか。それぞれがどのように関係しているかを調べました。

この結果を簡単にまとめると、下のようになります。

1.足首(足関節)が硬い=どの足趾、形の巻き爪とも関係する
2.脚の筋力が弱い=母趾のトランペット型(くるりと丸い形)の巻き爪と関係する
3.外反母趾=母趾のホチキス型(角ばっている形)の巻き爪と関係する
4,第2⁻4趾の変形=第2-5趾の巻き爪と関係する

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出典:
今井亜希子ほか, 足趾巻き爪の形成要因となり得る運動機能障害と足趾変形に関する解析,日皮会誌:133(11), 2589-2597, 2023

次回のコラムでは、この研究からわかったことを実際のケアや予防にどう生かせるのか、掘り下げてみたいと思います。


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