コラム

プロフィール

石原 智光

  • 石原靴店代表
  • FHA上級シューフィッター(バチェラー)
  • FHAシューフィッター指導員

なぜ今の上履きが昔のまま残っているのか?(2022/07/19)

当たり前になっている学校の「上履き」。

この「上履き」が生まれたのには様々な説がありますが、現代まで昔のまま残っていたのはかなりの疑問が残ります。

外靴よりも簡素な作りのため足に対してのサポート機能が少なく、子どもの足を作っていくと言う観点からは何とも物足りないと感じます。

また殆どの小学校では外靴は自由なのに「上履き」は全員同じ品番ですよね、細い足もあれば幅広い足もあるのに。

更に中学校ではもっと簡素なスリッパというところも数多くあります。

これでは成長期の子どもの足育としては不十分過ぎると思います。

さて表題の件で考えると、私としては理由は大きく2つと考えます。

A.学校(自治体)が子どもの足を作るのに「靴」が重要という認識が薄い

B.先生が忙しい状況の中、「上書き」廃止にする現状を変える時間と余裕が無い

A.に対しては、靴が子どもの「足」を作るという考えがそもそも日本でまだまだ広まっていない現状が一番の問題であると考えます。

一般的な安価な「上履き」は簡素な作りで、足をしっかりとサポートできる機能が十分にありません。

幼稚園~小学校のうちに足に合っている靴を履いて運動をたくさんすることで足の土踏まず(アーチ)が作れ、その後の身体作りの土台として必要なことなのです。

中には靴が合っていなくても足で困らない子どももいますが、運動不足+コロナ禍になってしまった現状であれば、土踏まず(アーチ)形成が出来ず足と靴で困っている子どもは潜在的にはとても多く感じます。

なぜそう感じるのかというと、私が行う子どもの計測会の際に足がしっかりしていない子どもが非常に多いからです。

石原が感じる内容は次の通りです。

<計測会で多い子どもの足変形>
1.浮き指 (立位で指が浮いていてバランスが悪い、特に小指)
2.外反母趾 (男女ともに親指が曲がり、爪に変形・タコがある)
3.偏平足 (土踏まずが無く非常に疲れやすい、踵骨外反も含む)

筋力が少ない子どもで1.浮き指の場合、姿勢が悪くなり猫背になりやすいですよね、一般的に携帯やゲームの時間も多いと思います。

バランスも悪くなるため特にスポーツをしている子は要注意です。

また身体も皮膚も柔らかい子どもで2.外反母趾になるということは、余程強くその状況にならないと指変形まではならないと感じます。早めに改善したいです。

3.偏平足は私:石原も偏平足ですが、かなりの確率でケガに繋がる事象です。

将来的なヒザ痛・腰痛の可能性もあります。

上記の足変形を減らす解決策の1つとして、「足に合う靴でヒモをきちんと締めて正しく履く」ということです。

ヒモが無くブカブカの「上履き」では逆に足変形の子どもを増やし兼ねません。

B.の内容では、一部の学校や先生で「靴」の重要性を認識されていて「上履き」の廃止

もしくは自由化に動いている学校もありますが、なかなか進んでいかない所が多くあります。

とある学校で「上履き」自由化に動いていた学校の例ですが、保護者さんからの声がたくさんあり先生方の協力も得て、校長先生や関係各所への働きかけに成功したのですが、その後とても時間が掛かり、結局はNGとなってしまったと連絡を受けました。

保護者さん達からとても残念と不満の声も多く上がったのですがそれでも容認までいけませんでした。

理由としては、先生方がとても忙しく制度変更を話し合う時間や調整ができなかったようです。

今後は行政・学校・保護者と話し合って上手くバランスを取る方法を模索できればと思います。

また東京では震災の対応として「上履き」廃止を実施した学校の事例も先日テレビで拝見しました。

非常時に外靴のまま逃げ出せる、下駄箱が不要になりエントランスが広くなる、「上履き」分の費用軽減と良いことずくめという内容でした。

反面、学校内に土が入らないように運動場は全面人工芝という都会の学校という利点はありますが、今後地方の学校でも十分に改善できる内容とも思いましたので、この情報がもっと広く知れ渡るよう今後も私は行動していきます。

皆さんも「上履き」について一度考えてはみませんか? 大切なお子さん・お孫さんのために。


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