コラム

プロフィール

嘉陽 海子

  • 株式会社歩っとけあplus 代表取締役
  • 一般社団法人 足の番人 理事
  • 足育研究会 協力委員

高齢者施設でのフットケアのすすめ(2022/05/16)

『高齢者施設でのフットケアのすすめ』

1 施設フットケアを行う手順
2 実際のケア内容

高齢者施設でフットケアをさせて頂くようになって15年が経ちました。

施設フットケアは、ご希望の方に毎月定期的にご訪問して居室や共有ルームなどで施術をしています。訪問先により多少異なりますが、普段私たちが行っている施設でのフットケアをご紹介します。

だいたい60分ほどのケアになりますが、ほとんどの方はベッドで休まれるため、お体にあまり負担をかけないのと、休んでいる間に私たちはしっかりケアすることが出来るので、このスタイルは双方にとっても、良いのだと思います。

1 施設フットケアを行う手順としては、おひとりおひとりの状況に合わせて行いますが、基本的な流れは以下の通りです。

①アセスメント→②足浴→③爪・角質ケアなど→④保湿トリートメント

 

① アセスメント
あらかじめ、初回に受ける方の既往症や歩行状況などを把握するため、可能な限りご家族や職員の方にアセスメントシートを記入して頂きます。

私たちも施術に入る前には、必ず、足をよくみて触って、痛みなどがないかを確認し状態を記録します。

これから行うケアの内容をご本人にもお伝えします。ご自身の足に関心を持ち、もっと足を労わって頂きたいためです。

そして経過記録用のケア前の足の写真を撮ります。

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【ケアに入る前に体勢を整える】
時間が長めのため、体が楽な姿勢でケアを受けられるように、おひとりおひとりに合わせた体勢を作ります。基本的には、仰向けに体をまっすぐにして、頭や首、膝などにすき間がないように枕やクッションを入れます。

私たち自身も施術しやすいように道具類などをセッティングし準備をします。

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② 足浴
適度な温度で足浴をおこないます。

皮膚を傷つけないように足裏、足趾間、足爪周りなどを丁寧に洗います。
高齢者への足浴は、保清や血行促進、フットケアをする際の前に皮膚を守るためにも有効で必要不可欠です。

お湯から上がり足部全体、足趾間を擦らずによくタオルなどで拭き取り、すぐに保湿剤を塗布します。保湿剤は無色無香のオイル、ワセリン、用途に合ったクリームなどを使用します。

皮膚の乾燥を防ぐために、お湯から上がってよく拭いた直後の保湿が、肌への保水浸透力を高めるためおすすめです。また、足部だけでなく下腿の乾燥や、冷えている場合は、下腿にもよくお湯をかけて暖め、同様に拭き取りした後すぐに保湿をします。

足浴後のスキンケアはとても大切です。

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③ 爪ケア・角質ケアなど
足浴後、保湿を済ませた状態からケアを行います。爪周りの硬くなった角質や肥厚した爪、胼胝、鶏眼などのケアが安全に行えます。

高齢者の皮膚は加齢とともにバリア機能が低下し、乾燥しやすく、角質層がめくれた状態になっているため、足浴が出来ない場合はホットタオルで保温し保湿するのが良いでしょう。

爪は伸びているからといってすぐにニッパーでカットせず、皮膚と爪が密着していないかなどを確認して爪周りのクリーニングから始めます。胼胝、鶏眼を削った際も最後に必ず細かめのヤスリやファイルを優しくかけて皮膚を整えます。

削った直後に少量のクリームなどで保湿すると乾燥を防ぎ肌への負担を和らげます。

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④ 保湿トリートメント
最後に爪周りや削った角質などをウェットティッシュなどで拭き取った後に、保湿剤を足部全体に塗布します。

爪周りも丁寧に1本ずつ優しく拭き取り、爪の尖りがないことを確認します。同時に趾先が刺激され、血行が促進されます。

足部全体をオイル塗布しながら優しく足裏、足趾をほぐします。
乾燥しがちな下腿にもオイルトリートメントを軽く行います。

終了して、ケアの内容や足の変化などを説明ながら記録用の写真を撮ります。靴下、靴をしっかり履いて終わります。

重要ポイントは、足浴をしっかり行うことで温まり、さっぱりして休まれるので、起きたときにリラックスされ、気持ち良さが残ります。


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