コラム

プロフィール

石原 智光

  • 石原靴店代表
  • FHA上級シューフィッター(バチェラー)
  • FHAシューフィッター指導員

子供のサッカーシューズは足を育てるのか(2022/08/09)

過去に大型スポーツショップにてサッカーシューズバイヤーの経歴を持ち、自分の子どものサッカー相手もたくさんしてきた私にとって非常に難しい内容ではありますが、ネット検索でもあまり出ない内容も含め、思うところを列記して参ります。

まず表題の「足を育てるのか?」というのに対しての返答とすれば、サッカーという運動をすることで足(土踏まず:アーチ)を作る一因にはなるので子どもの足は育てることは可能とは言えます。

ですが、どのシューズを選ぶか、また履き方によって良くも悪くもなるのがスポーツシューズと感じますし、また非常に運動強度が大きいスポーツなので、成長期のシューズ選びがケガに直結するのも注意したい内容です。

 

●サッカーシューズで足を育てる

どのスポーツシューズでも同じですが、まずはきちんと履くことから。

踵にしっかりと合わせてヒモを足先から締めることは徹底してほしいです。

緩いとシューズの中で足が前にずれてしまい、指が曲がるクセが付きます。

また、ヒモがすぐに解けるという子によく見受けられますが、ゴムヒモには絶対にしないで下さい。

しっかりと固定ができないので、運動には向きません。

この時期にしっかりとヒモを結ぶ練習をしてほしいです。

おすすめの解けにくい結び方は「イアンノット」という結び方が
ネット検索の動画でありますので、
(イアンノット参考:https://www.youtube.com/watch?v=4m_-mZLZW88
それをお子さんに見せて練習をして貰ってください。

ゆっくりお子さんの成長を見守りましょう。

また「ゼログライド」という解けにくいグリップ加工してあるヒモもオススメです。
(ゼログライド参考:https://jpn.mizuno.com/ec/disp/item/753381/

 

●レベルに合わせた靴を選びましょう

「トップ選手が履いている同じかっこいいモデルがほしい」
「足の妨げになるから軽量で柔らかいシューズが良い」

こんな声を子どもや親御さんからよく聞きますが、実はあまり子どもにとってはよくありません。

トップ選手が履いている同じ高額のモデルのサイズを履けたとしても、プレーレベルや筋力が違うので同じようなプレーは出来ません。

トップ選手は、鍛え上げた身体に日々の練習で培ったプレーが出来るから軽量で柔らかいシューズが履きこなせるのです。

選手によっては1・2試合で壊れてしまうぐらい耐久性が無いタイプを使用しています。

お子さんにはしっかりと足を守る機能が付いたシューズを店員さんに選んで貰ってください。

 

●トレシューはサッカーの時だけ

新しく買ったトレシュー(トレーニングシューズの略)は嬉しいので学校にも履いていくと言ったお子さんもいますが、学校には通学用スポーツシューズを履いてください。

トレシューは、土のグラウンドで滑らないように小さいイボが付いた固めのラバーソールです。クッションや安定感よりも滑らないことを重点に置いているので足には厳密に言えば優しくありません。

 

●ケガをしたらしっかりと治すまで安静に

サッカーというスポーツは非常に足首を捻挫しやすいスポーツの代表格です。

軽度であればテーピングやサポーターで慣らしながらのプレーは可能でしょうが、重度の場合でも試合が近いからとか、自分がいないとチームに迷惑を掛けるといった理由で強行プレーをするお子さんがいますが、そこはしっかりと周りの大人が止めて下さい。

その時がピークではありませんし、そこで無理をするから大人になってからの膝痛・腰痛に繋がっている方を計測する機会が非常に多いです。

大概その方は後悔をされていますし、現状のお仕事に支障をきたしている場合が殆どです。

いま高校野球のピッチャーに対し将来性を考慮して肩や肘に無理をさせないプログラムが構築されてきています。分かりやすく言えば、球数制限があります。

他のスポーツでも身体的サポートできるプロの方々が入り、徐々に慣習化されてきていますので喜ばしいことです。
 
子ども達に安全にスポーツができる状況を周りの大人でしっかりとサポートして、楽しさ・努力することなどを学んでいってほしいですね。


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