コラム

プロフィール

原 尚子

  • JR東京総合病院
    リンパ外科・再建外科医長

むくみの圧迫療法(2022/02/24)

『むくみの圧迫療法』

内臓の病気がないのにあしにむくみがある場合、着圧ストッキングを使うとむくみが取れます。これを圧迫療法と言います。

加齢、運動不足、肥満のせいで起こったむくみにもよく効きますし、リンパ浮腫や静脈瘤のむくみにも効きます。

リンパ浮腫以外の場合、市販の着圧ストッキングや、医療用の中でも軽い圧力のものをお勧めします。

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tgグリップ

写真のtgグリップは10m単位で箱に入っていますので、ちょうどいい長さに切って使います。

何回も洗って使えますが、洗うと短くなるので、最初は1.5倍くらいの長めに切るといいと思います。

最初から靴下型になっているものとしては、ソフィットVEサポートなどもおすすめです。

リンパ浮腫の場合は、その他のむくみと比べると高い圧力の医療用ストッキングが必要になります。

がん治療後の方は主治医の先生に相談してもらってもいいですし、「リンパ浮腫外来」と調べてお近くの医療機関を受診してもらってもいいです。医療用ストッキングは何百種類もあります。

医療機関によって取り扱っているストッキングの種類がちがうこともありますので、よくご相談ください。

また医療用ストッキングに慣れるまでは、はいたり脱いだりするのが少し大変に感じるかもしれません。

セラピストと一緒に練習したり、インターネットで「弾性ストッキング はき方」などと調べて動画を見たりしながら、何回か練習しているうちに、だんだん慣れてきます。

80代以上の方でも脱ぎはきできるものですので、あきらめずに練習してみてください。

着圧ストッキングは、普通のソックスやストッキングよりも生地が硬いので、脱ぎ履きするときにたぐり寄せるようにしてしまうと、とてもきつくてはけないし、脱げません。

ストッキングのはき方
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一度かかとまで裏返して足部分をはき、少しずつ表にひっくり返すようにしてはいていきます。脱ぐときも、裏返しながら脱いでいきます。

着圧ストッキングをはくときに大切なのは、シワがよらないようにはくことです。

シワがよると、そこに傷ができやすいのと、シワにストッキングが食い込んだためにむくみが悪化することがあります。

特に、足首、膝、あしのつけ根(鼠径部)には食い込みやすいので、生地がたわまないように気をつけてはきます。ハイソックスをはくときは、上端が膝から2~3cm下になるようにはいてください。

ハイソックスをはくときは、上端が膝下2~3cmのところにくるようにする。引き上げすぎると、膝のところでたわんで食い込む(矢印)。

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ひと昔前までは、あしにむくみが出たら、あしを高くして寝ておくのが治療でした。

でも今では、圧迫療法をしながらしっかり運動をすることでむくみがとれて、元気に過ごすことができるということがわかっています。

かかりつけの医師とも相談しながら、ぜひ100歳まで元気に歩けるあしを目指しましょう。トナーになります。


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