コラム

プロフィール

山口 宏二

  • 株式会社シューピッド 義肢装具士

株式会社シューピッドは、靴とインソールを中心に取り扱うフットウェア部と義肢装具全般を取り扱う義肢装具部(所属義肢装具士5名)からなる。足元に関しては、簡易的なインソールから靴型装具まで幅広い取り扱い。山口はそこで、義肢装具士として日々、患者様のケアを行っている。


まずは自分の靴を確認しよう! 靴の"型"による履歴と癖(2021/07/20)←NEW!!

疾患に対して日々様々な患者さんの対応をさせて頂いております。そのような日々を過ごす中で、まだまだ靴への関心がとても低いと感じざるを得ません。患者さんが靴に対して思う事は、「歩く道具」としか認識しておらず、結果として、安くて、履けれて歩ければ、それで良い。と思われている方が多い事には驚かされます。

踵のゴムがすり減っていないか、破損していないかの確認など、おっくうかも知れませんが、日々確認する事をオススメいたします。靴は玄関で脱いで、はい終わり!では実はないのです。

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【写真1】
写真1は、靴の踏み返しシワ線が広範囲に崩れている革靴となります。
私が対応させていただいた際は、靴を見て、何かおかしい事を感じた上で、サイズが大きすぎるのではないか等色々な状況を考えます。

そこで、靴の中身履歴を観察していくと、構造部品(シャンク)が何故か中敷きの下で外れていることを突き止めました。

装具(インソール)外来にて他人(私)に靴を触らせていなかったら、この現象は分からないまま、ケガをした後に靴を調べて発見されていたであろう不具合であると考えられます。

また、以前に男性の方で、第1拇趾下が痛く、胼胝が出来ているという相談があったケースでは、中敷きを剥いだら子供の裁縫ビーズが食い込んでいた!!という事例もありました。

何とも細かいことですが、自分自身で靴の中を確認していれば痛くなる前に原因を取り除く事が出来た事例であると考えています。

糖尿病疾患が有る場合、尚のこと気を付けなければなりません。一度ご自分の靴の中の「今」を確認してみたら如何でしょうか??

装具外来では、最初に患者さんへ説明をしていくことで、個々の様々な生活様式を理解することが出来ます。

私は、患者さんに長期に渡って使用された靴や、お気に入りの靴を持参して頂き、早い段階で"型"を確認するようにしています。使用されていた靴は歩き方を表現している履歴書みたいな物。

地面に付いた時の衝撃などで、変形している場合が多く、履きふるした靴の形から、足を上げた時の動作も読みとることが必要だと考えます。

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【写真.2】
この患者さんは歩行時に足を上げたとき(遊脚期)、靴の中で第3指だけが擦れる歩き方をしていることが分かりました。

基本的には足を上げ、踵から着地するようにと指導をしますがすべての患者さんが同じように出来るとは限らないですし、元来、日本人は前のめりに歩行し、つま先で擦りながら歩く方が多く見受けられるのです。

ちなみに、この様な患者さんが選ぶ靴の傾向としては、窮屈なものが嫌で、くつべらを必要とすること無く、脱ぎ履きし易い柔らかい靴を選択していることが多いです。

この様なやや大きく、やわらかめの靴で歩数を重ねていくと、靴の先端につま先がいつも当たる状態になりますので、いつの間にかダメージが蓄積されて、予後が悪くなっていきます。

そうなると、先端が当たるのは嫌だと言って、足長が長いサイズ、先端に足先が当たらない靴に買い替えていくという悪循環に陥っていきます。

ちなみに、足長の長い(足に合わない)靴はインソールを挿入しても、その特性上インソール本来の効果が生じることはありません。

足育研究会にて足の知識、靴の選択方法等を理解して頂き、「足の正しい健康と」、「健康は足元から」の双方を実現・実践していただけると幸いです。

最後に、靴は値段(安値)ばかり気にしてはなりません。安価であるということは材料費を削っているということ。

もし、靴を変えるだけで、足の健康を手に入れる事が出来るのなら。今からでも遅くはありませんので、皆様にフィットする最適な靴へと履き替えてみてはいかがでしょうか。


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