プロフィール
山口 宏二
- 株式会社シューピッド 義肢装具士
靴とインソールを中心に取り扱うフットウェア部と義肢装具全般を取り扱う義肢装具部(所属義肢装具士5名)からなる。
足元に関しては、簡易的なインソールから靴型装具まで幅広い取り扱い。
トラブルのある足に義肢装具士がお答えします
こんにちは義肢装具士の山口です。足育研究会のフットウェア部会に義肢装具士として参加させて頂いております。
義肢装具士は、医師の処方のもと、経験とエビデンスから患者様の疾患、生活様式を考慮し、最適な装具を作成します。
対応するおもな疾患として、足底の骨格筋のバランスの崩れによる胼胝、魚の目、外反拇趾、踵骨の内反等が多く見られます。 また、糖尿病や血流障害による足の変形、足趾の欠損による歩行障害にも対応しております。
患者様それぞれの生活様式も考慮すべき重要なポイントとなります。
例えば、室内メインで有れば簡単に脱着出来る室内靴を提案しますし、室外靴メインで有れば様々な靴の選択が可能ですが、足長、ワイズ、トゥボックスの高さ等をクリアしなければならない為その様に対応出来る靴を提案しなければなりません。
人間は立位により体重をかける為、立っている時だけではなく歩いている時も考慮し最適な足底装具を製作するように心掛けています。考慮するポイントとしては、
①どこに体重をかけて良いか。
②徐圧するには、単にクリ抜くのか、材質を変更するのか、どこか免荷出来る部位は有るのか。
③足底装具と靴の関係性は良好であるか。親指の爪がトゥボックスに引っかからないか。
等があげられます。
作成手順として、適合はまず静的な状態にて確認、良ければ動的に歩行に移行します。
①前足部がつま先に移動しないように靴の中で前足部が緩くないか。
② 徐圧部位は動的になると変化するのか。
③個々の患者さんにより使用感や靴の履きやすさを主観的に聞き生活様式の中でマッチングしているか。
これらをもとに作成していきます。
義肢装具士の仕事は、患者さんに装着適合が終了した時点で終わりではありません。
経過中、症状に変化が見られれば、その都度装具の微調整や、再作成が必要となるため、足底装具だけでは治療出来ない領域、例えばフットケアやウォーキング、リハビリなど各専門スタッフと連携し、患者様の情報を共有する継続的な経過観察が必要と考えます。
コラム一覧
- トラブルのある足に義肢装具士がお答えします(山口宏二)
- 足から見た転倒予防に必要なこと(今井亜希子)
- 足が支える健康寿命(高山かおる)
- 歩く動作と足の関係について(黒田恵美子)
- フットケアの必要性(高山かおる)
- サイズ感覚の習慣(吉田圭)
- 足もとからの健康と靴選び(1)(大沼幸江)
- たかが足、されど足(林美香)