コラム

プロフィール

高山かおる

  • 足育研究会 代表
  • 済生会川口総合病院皮膚科部長
  • 東京医科歯科大学大学院 皮膚科学教室特任講師
  • 医学博士
  • 皮膚科専門医
  • フットケア学会評議員
  • 日本トータルフットマネジメント協会理事
  • 接触皮膚炎・皮膚アレルギー学会評議員


フットケアに出会って

大病をされたことをきっかけに、歩くことの重要性を実感された高橋貞之様(55歳)より足育研究会にお便りをいただきました。
「今、歩ける幸せを噛み締めております」という思いを述べてくださっています。
病気の予防というのは本当に難しいものです。生活習慣に気を付けないと重大な病気になるというようなことに関して頭でわかってはいるものの、どこか他人事だったりして、実際に病気の予防のための様々な努力をつづけるのは難しいです。
つまり、歩くのが当たり前であれば、歩けなくなることを考えるのは難しいですが、人間の幸せを守るためには自由な歩行は欠かすことができない要素です。そのために足を痛めずその機能を守り育てることはとても大切です。
高橋様のご体験を通して、どうぞ足のことをいたわるきっかけとしてください。







二年前、私は五十三歳で脳梗塞になり、医者から「寝たきりか、車椅子。仕事は無理。」と告げられた。悔しさや将来の不安などで、眠れない日が続いた。妻は介護職員で、毎日疲れ果てて帰宅していたが、私の前ではいつも元気に振る舞っていた。しかし、就寝のころになると、シップの匂いがし、相当足腰が辛いのであろうと思ってはいたものの、その頃の私は、自分のことが精一杯で、妻には労いの言葉すら掛けてやれなかった。

弱音を吐かず頑張ってくれている妻の姿を見ながら「このまま寝たきりでいいのか。もう一度歩きたい。」という思いが日に日に強くなった。そしてリハビリが始まった。動かない身体を動かすということがこれほど大変だとは思いもしなかった。ある時は悔しくて、またある時は辛くて涙を流したが、それでも諦めず続けた甲斐があって、今では杖をつきながらも、人の手を借りず自分の足で立ってゆっくりではあるが歩けるようになった。
歩くことに特別な想いを感じた私は、歩けることに感謝し、いつまでも歩き続けたいと思った。そんな時、「フットケア」に出会った。靴を見ると、確かに踵は潰れ、底は擦り減り、普段いかにバランスの悪い不自然な歩き方だったかを思い知った。サイズのみならず足の形や重心の掛け方などの癖を知り、自分に合った靴選びとインソールを使えば、実に快適に歩けることを知った。
感想としては、両手で優しくもしっかりと包み支えられている感覚で、まず姿勢が良くなった気がする。この感覚は、一時的でも歩けなくなった経験があるからこそ実感できるのだと思う。病気になって唯一プラスになったことは「歩く」ということがいかに重要でかつ、幸せなことかを知ったことである。健康だった時期に、フットケアを出会っていれば人生が変わっていたかも知れない。